痩身(痩せる治療) 脂肪吸引など
美容手術の花形手術のひとつといえば、脂肪吸引でしょうか。
とても小さな切開から特別な機器をいれて吸引しながらこすって脂肪を掃除機のように吸いとるといったものが基本的なシステムになるかと思います。
それに超音波粉砕や熱などいろいろなオプションで脂肪を吸引する効率をよくして効果を出せる機器があります(VASERなど)。
リバウンドもほぼないとされています。それが本当かどうかはわかりません。医療に100%断言できることもほぼ無いと考えているからです。
私も、とあるクリニックでの非常勤勤務の時にそのような手術の経験はありますが、やはり見えないところに広範囲に侵襲を加えるので怖いです。
皮下には穿通枝と呼ばれる筋肉などから皮膚に立ち上がる血管はもちろん、顔だと顔面神経、耳下腺などもありこれらを盲目的に避けて施術を行うことにどうしても違和感があり、当クリニックでは行わないことにしております。
実際に大量出血による貧血になってふらふらで来院された他医が執刀した脂肪吸引術後症例を診察した経験があります。あきらかに1回限度量を超えた脂肪吸引でした。総合病院の救急にお願いし、事なきを得ました。ヘモグロビン値は輸血寸前であったと聞いています。
東京の大学病院勤務時代には、とある美容クリニックで脂肪吸引をされた患者さんが急変して搬送されたことがありました。結果的に腸管損傷で不幸の転帰をとりました。脂肪塞栓という血管内に脂肪が入ることで生じる合併症は稀ですが現在でもあります。それが起こってしまうと根本的な治療はありませんし予後も良くないのが現状です。
いまでもそのような例は、表立って報告されませんが、ゼロにはなっていません。海外では特におしりの脂肪吸引手術での死亡例が多く報告されています(3000人に1人という報告もあります)。ネットで検索するとたくさん出てきます。
たくさんやられているどの先生に聞いても自信をもってやっていて陰ながらすごいなーとは思いますが、そのようなリスクをしょってやるにはうちはあまりにも小さいクリニックなので急変時の対応など考えますと一歩踏み出せません。また患者さんに術前の説明は当然行っていると思いますが、そのような合併症があることをちゃんと理解して手術をうける心構えは必要かと思います。うまいとされている先生が執刀した術後症例を何度か診察していますがやはり全体的に硬い皮膚、凹凸などは多かれ少なかれあります。
他の手術のあと、左右差がある、傷あとが目立つ、思っていた結果にならない、、、などの不満を持たせてしまい、申し訳ない患者さんもうちにも当然いらっしゃいます。しかし、脂肪吸引に一定の確率で起こってしまう重篤な合併症に比べるとどうなんでしょう。
また、脂肪吸引手術は非常に高額なので、クリニックとしても利益を考えると外せない手術になってくると考えているのでは??とすこし穿った見方にもなってしまいます。
運動して、食事の管理を行い、時には当ホームページにある「やせる治療」の項目にもあるような内服や注射などの助けも借りればバランスの良いダイエットは充分可能と思います。
それを実践すべく私自身も今ダイエットに挑戦中です。2カ月で約10kg減りました。でも目標はもう少し高いところにあります。もちろん運動も平行して行っております。
しかしながらこの薬も関連がある可能性があるとして、先日イギリスの報告で看護師である患者の死亡例が報告されました。まだ1例ですし、何千何万人という肥満に対する減量効果が報告されておりますので直ちにリスクとまでは言い難いのですが、どんな治療もリスクはありますので自分の体ですからどんな治療を行っているか把握する必要はありますね。