うまくいかないときこそ成長のチャンス
これまで比較的たくさんの患者さんを診察、手術してきました。年間平均1500件程度と思われますので、医師となって24年目になろうとしており、単純計算でも35000件程度になるかと思います。(正確に数えるともう少しあります、、、、) 先輩先生からするとまだまだ修行が足りないと怒られると思います。
その中で、思い出に残る患者さんというのは、まず第一には母の手術です。詳細は伏せますが、比較的侵襲のある手術で8時間ほどかかりました。前日は眠れませんでした。次に東京女子医大勤務時代に診ていた重傷熱傷患者で、残念ながら救命できなかった方のことはほぼ全員、今でも鮮明に覚えています。あの時こうすればまた違った結果になったのではないか、、、、など思うこともあります。またいつかここに書き記したいと思いますが、沖縄では熱傷患者を診ることが少なくなっており、不要かもしれない日本熱傷学会専門医の資格を(高いお金を払ってまで)持ち続けるのは、東京での経験を忘れないためでもあります。第三に覚えておりますのは、また覚えておかなくてはならないのは、手術で目的とする結果が得られなかった、うまくいかなかった患者さんです。その時はとてもつらく、時には数カ月心が重くなります。最後に覚えているのは、東京女子医大で初めて執刀させていただいた大きな手術のいくつかです。一人の患者さんからは今でもお礼のお手紙などが届きます。
私含め医師も人間であり、なかなか思うようにいかないこともありますが、それで終わるのではなく、すべて反省し次はどうしたらよいか、どうすればうまくいくか、毎日朝の時間に振り返って論文や参考書を診ながら考えるのがこの職業だと思います。
もう一つうまくいかない要因として私の性格があります。せっかちです。もう少し事前に丁寧に説明していれば、、、、、、、と思ったことも多々あります。
「こんなはずではなかった」と言わないまでも思われてしまうこと、また、こちらは目的通りに手術ができたと思っても、患者さん自身がそう思ってなければうまくいったことにはなりません。治療には限界もありますので、どこまでできて、どういう合併症があり得るかなど丁寧に話し合う時間をもう少し作りたいと思います。
沖縄でナンバーワンの形成外科医を目指したこともありましたが、沖縄には素晴らしい形成外科の先輩方がたくさんいます。すぐに無理ということもわかりました。今はそうではなく地域に根差した開業医として標準以上の治療が提供できればと思い、日々勉強とリサーチを診療の合間に続ける毎日です。
これからも叱咤激励を受けながら前に進んでまいりたいと思います。