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専門医 カウンセリング などあれこれ

[2024.08.29]

最近のニュースをみていると、後に引用しているようなカウンセリングによる被害が報告され、有識者の間で検討されていることが挙げられていました。それを受けてのつぶやきです。

手術や施術治療には、ある程度の合併症のリスクは必ず存在し、それを事前に説明する必要があります。それでも説明できていない、いわゆる予期せぬ合併症も起こりえます。もちろん自分自身の行った治療でも合併症はこれまで何度も経験してきました。そのすべてを自分で対応できるかと言いますと、難しい場合もあります。そのような場合にはより技術や専門知識のある他の先生に相談したり、場合によっては紹介したりすることもあります。

医師であれば診療してよいことは医師法に定められていますので、診療に際し、学会専門医の資格は、必ずしも必要かというと決してそうではないと思いますが、専門医を取得するためには一定の研修や経験、知識が必要であり、それらの条件をクリアーして初めて取得できるため、患者さん側からすると「安心」も正直なところあるとは思います。また、逆にわれわれ医師自身も、学会からある程度のお墨付きをもらった下での診療ということである程度の安心はあります。

私自身もそうですが他の形成外科・皮膚科の先生方も得意分野と苦手分野はあります。意外と勘違いされていますが、患者さんからすると、専門医はその所属する学会すべての分野を専門的に治療することができると思っていることも少なからずあります。所属する学会で取り扱うとされているすべての範囲をそつなく網羅できている先生は逆に少ないと思います。「内科」が良い例かと思います。

消化器を主に診ている先生は循環器の分野には明るくないですし、リウマチ内科や神経内科的なことになると沖縄県はとても専門的に診ていただける先生が少ないと感じています。

自分は、苦手と感じる分野は積極的により得意としている先生に紹介することにしています。それが最終的に患者さんにとってハッピーな結果につながることが多いからです。「多い」と言いますとトゲがありますが、折角紹介してもunfavorable result(残念な結果)になって帰ってこられる患者さんも少ないですがいるのも正直なところです。どうしてもうちで診てほしいというありがたいお言葉をいただくこともあり、なるべく多くのケースに対応できるよう、開業医も日々勉強です。新しい治療が今日にも明日にも生まれてきます。参考書を読んだり、最新の文献を読んだり、時にはネットで調べたり、所属学会の学術集会に参加し、他の先生の新しい発表を聞いて勉強したり、県外、場合によっては国外の先生のセミナーや意見を伺ったりなどで常にブラッシュアップしていく必要があります。

 保険診療の診療費はもちろん国によって定められています。一方で自費診療における治療費はクリニックごとに決められており、家電製品と同じように、製品は同じでも、販売店によって価格が違い、施術内容も微妙に違うことが多いと思います。大根1本の価格もお店によって違います。だからこそ、価格ははっきり明示する必要があり、追加オプションなどあるにしても大まかな治療が変わらないのであれば(大きく治療方法が変われば治療費も変わります)、最初の金額を著しく超えないことが大切であると思います。

また話は変わり、ありがたいことに毎日1日に約80名程度の患者さんがいらっしゃいます。これは形成外科・美容外科としてはかなり多い方だと認識しています。1名の患者さんは1つの悩みだけではなく、シミもとりたい、いぼもとりたい、爪も診てもらいたい、しこりが気になる、下肢静脈瘤があるのではないか、、、、など複数相談したいという方が大半を占めています。そうすると、単純に1日80名の診察ということにはならず、1名で2つ、3つの相談が重なると、1日に200名分の診療に時間をついやしていることにもなります(初診・再診料は80名分のみですが)。さらに、その合間では、形成「外科」医ですので、大なり小なり手術も行っております。平均して1日に10件程度はこなしております。

そのような現状から、医師のみの対応では時間的に限界があり、詳しく治療内容や治療費を患者さんの目線で丁寧に説明するために、うちではカウンセリング制度を設けております。決して治療費を少しでも多く徴収してやろう、、、なんていう目的ではありません。数時間にわたって監禁もしません。(詳しく説明しますので基本的には1時間程度です。)もちろん漏れもあることはありますし、医師の話を自分の言葉で頭で理解・整理できてない方も意外と多くいらっしゃいますが、あとから「聞いてなかった」となることを少しでも無くす目的もあります。

まず医師がメインとなり(当たり前ですが、、、)、時には専門知識を持つカウンセラーや看護師と治療方針を相談し決定した上で、カウンセラーによる治療内容や治療費などの詳しい説明となります。そこで疑問が生じた場合には再度医師の診察に戻り納得した形ではじめて治療に進みます。すべての治療は、その覚書として後から見直せるように同意説明書をお渡しし署名していただき、患者さん本人とクリニックで共有しております。

 

以下ニュース参照(医療維新より抜粋)。

厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」が2024年8月26日開かれ、違法性が疑われる事例に関するヒアリングが行われた。関係学会からは「治療を行った施設が合併症に対応できていないとの相談事例が多々存在する」「密室で説得され120万払ったというトラブルが寄せられている」などの声が上がった。都市部の保健所からは、医師以外による医行為や無診察での治療の疑い事例がある一方、どういう場合に介入できるのか判断が難しいといった指摘があった。同検討会は今後もヒアリングを続けて課題を整理した上で、対応を協議する(資料は、厚労省のホームページ)。

「ほくろ切除1980円~」のはずが120万円に

 診療所の美容外科医師の推移や美容医療による危害の相談件数などが示された第1回に続き、より具体的な事例について報告があった。

 日本形成外科学会(JSAPS)の貴志和生理事長は、臨床研修の修了後すぐに美容医療に従事する、いわゆる「直美(ちょくび)」について、「憂慮すべき問題」と強調。その理由として、(1)専門医制度でのシーリングの効果が薄れる、(2)軽微から重篤なものまで、合併症について、治療した施設で対応できていない――の2点を挙げた。特に合併症を巡っては「ショックや感染症、失明、組織壊死など重篤なものから、傷跡、炎症、色素沈着などさまざまで、対応できる医療レベルに達するには解剖学、病理学、創傷治癒学などの知識と実体験が必要だが、直美などの形成外科・皮膚科の専門研修を受けていない医師には対応できない。施術者の専門性の欠如が大きく関与している」と問題視した。

 日本皮膚科学会の渡辺大輔理事は、これからサブスペシャルティを決める若手医師で、保険診療も含む「美容・レーザー」の希望者が多いことを報告。その上で、「合併症の発症後に相談に乗ってもらえなかった」「『ほくろ切除1980円~』の広告を見て受診したところ、密室で説得され120万払った」など、学会に寄せられたトラブル事例を挙げた。

 形成外科医や皮膚科医が在籍し美容医療を手がけるグリーンウッドスキンクリニック立川(東京)の青木律院長は「患者が情報得る手段が安易で、医師の診察よりもインフルエンサーの発信が信用されてしまう。美容医療が医療行為に含まれるという認識がない」と指摘した。

保健所、無資格での医行為や無診療での治療の疑いも

 厚労省は、美容外科に従事する医師数が多い都市部の保健所へのヒアリング結果を公表。保健所が把握している事例として、「カウンセラーなど医師以外の無資格者が施術内容の決定や医療脱毛などの医行為を実施している疑い」「医師の診察や指示なしに看護師等が脱毛等の医行為を実施している疑い」「医師が診察する前に治療内容が決定し契約が締結されるなど、無診察治療の疑い」などが挙げられた。

カウンセラーが事実上診療内容決めるケースも

 他の委員からは「カウンセラーが最初に診療内容を決めてしまって、最後に医師が現れてファイナルアンサーをするだけのインフォームド・コンセントがある」「最近は患者にまずアンケートを書かせ、何を希望するか丸を付けさせる場合もある。気軽に項目に丸を付けてしまうと、後になって『患者が希望した』と言われてしまう」といった実態も報告され、共立美容外科の久次米秋人理事長は「そもそもこういったカウンセラーの制度を廃止しないと現状を打破できないのではないか」と厳しい意見を述べた。

 

以上です。

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