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たかが爪切り、されど爪切り

[2025.11.01]

いつも当クリニックのHPをご覧いただきありがとうございます。

今回爪切りについて思う私見を自由に吐き出します。

まず、国は、病院やクリニックをつぶそうとしているのではないかとさえ思っています。医療機関が得られる診療報酬を改定のたびに削り、報酬を得られる条件をどんどん厳しくし、得られる報酬としての加算に伴う雑用を増やし(ここは国民が得られるべき手当における手続きのシステムに似ていると思います。決して国からは案内しないけど、いざ手続しようとすると複雑)、医療機関の雑務は間違いなく10年前に比べて倍増どころではない増加量と思います。そういった雑務の多さからくる仕事の負荷の割には得られる報酬は上がらないのに物価はどんどん上がっていくという状況に、病院経営陣はコスト削減に躍起になり、まっとうに仕事しても超過勤務を付けることを良く思わず、賞与などにも影響し、医療スタッフはやがて疲弊し総合病院からどんどん小さい看護ステーションやケアステーション、訪問看護、リハビリ施設など、小規模で自立する方向に流れています。それが残っているスタッフに負担増となり悪循環となっています。

「フリーター」なる看護師も多く存在し、病院を掛け持ちしたりしています。そのほうが休みも稼ぎも多くなっている状態です。総合病院は今、存続の危機にあります。国立病院機構でさえ、ほとんどの病院が赤字経営に傾いています。先日沖縄県でも県立病院の経営難による職員雇用に関する問題がニュースになっていました。病院がつぶれると一番困るのは国民です。

 そんな私も総合病院から出て開業しておりますので人のことは言えませんが、今も薄給で総合病院での診療は継続しています。正直、病院に勤務せず、クリニックの診療日を増やしたほうが自分の時間も確保でき、得られる報酬もプラスですが、少しでも力になれば、、、、という思いで対応させてもらっています。しかしながらやはり薄給のわりに負担も多く(時給換算で沖縄県の最低賃金に迫る勢いです。)、先日は常勤医の病欠に伴い入院患者の対応も行いましたがそれは給与に反映されません(こんなこと書いて大丈夫ですかね、、、)

正直どこまで続けられるか自信がありません。

 それを踏まえての本題です。爪切り、、、手はまだよいのですが、特に足は、普通の爪切りが入らない、ちょっとお腹か出てきたり、手が不自由、腰痛持ち、老眼などいろいろな理由でセルフケアがだんだん難しくなってきます。

放っておいて長いままだと毛布に引っかかってはがれて出血したり、となりの足ゆびに刺さって痛みがでたり、爪の隙間にゴミがたまって炎症を起こしたり、厚くなると靴が履けなくなったり、、、様々なトラブルに発展するため、定期的な爪切りは大切です。

 例えば爆発的に増加している糖尿病の患者さんは、血糖コントロールが悪いと傷の治りに影響します。さらに足に関しては動脈硬化症から血流障害となりキズができ、それが難治化してしまい、感染症をきたし、それが全身におよんで足を切断せざるを得ない状況になってしまい、やむなく切断した経験がこれまでにたくさんあります。

 糖尿病は静かに進行します。合併症である神経障害、腎不全、視力障害など症状がでるころにはだいぶ病状が進行してしまっていることがほとんどです。そのため、足に傷を作らないように適切なネイルケアと、キズができてないかフットチェックを行うことは大切です。私も「一応」所属しております、日本フットケア足病学会でも重要課題とされています。

、、、という信念のもと、当クリニックでは美容医療を扱ってはおりますが、その分野とほぼ対極にある足のケア、処置をスタッフ一丸となって積極的に行っています。ひどくなると余計に大変なことになるからです。普通の爪切りでも先述の理由で足に手が届かなかったり見えなかったりでできない方はたくさんいますのでできる限り行っています。

 保険診療では、これまで爪甲除去(麻酔無し:70点:3割負担で210円、後期高齢者1割負担で70円!)という項目で対応が可能でしたが、なんとこれですらここ1-2年で認められなくなってまいりました。当クリニックもこの度、爪のケアを保険で行った処置はすべて査定され認められなくなりました。査定理由は過剰医療ということです。どうやら爪切りは医療機関で医療行為として行うものではなく、通常介護の範囲内と判断され始めたようです。医師になって25年ですが、初めての転換で驚いております。よっぽどフットケアの重要性を知らない人がこの診療報酬を削っているんだろうなと憤りしか感じません。足を診れるドクターはただ爪切りをしているだけではありません。むしろ爪切りはスタッフができるレベルの変形であればお願いしていますがそれでも院長が必ず診察します。その中で血流は問題ないか、感染など起こしてないか、水虫はないか、、、、など合わせていろいろ診察しながら対応に当たっています。目の前にある伸びた爪を切る、痛い魚の目を削るだけの大半のサロンなどの爪切りなどとは明らかにレベルが違うと思います。

 当クリニックに来られる患者さんは普通の爪切りでは対応できないような肥厚した、変形した、炎症のある爪も多く、多くはニッパーや専用のグラインダーなどでの対応を余儀なくされ、とても時間を割いています。

 今の国の考え方では、全国的にもそのような対応を行っていると割に合わない、クリニックがつぶれてしまうということで、自費診療扱いにしているところがほとんどです。医師のいないネイルサロンの様なところも最近はあちこちに開業しておりますが、どこもかなり高額で、1回行くたびに1-2本の指のケアだけで10,000円以上かかるところもざらにあります。そうしないと経営が成り立たないからです。しかし、それでも放置することによる合併症を考えるとセルフケアできない人は利用も検討されると思います。

 たかが爪と思って放置するととんでもないことになりますので、ケアは重要ですが、現在の物価高騰の世の中でそこにお金をつぎ込むことは最小限にしたいと皆考えているところだと思います。

 当科でも健康保険協会などに掛け合って患者さんの負担を減らし、かつクリニックもある程度経営が成り立てるように、いろいろ工夫しましたが、門前払いでした。爪切りに要する時間が診療報酬として反映されないということになると経営効率があまりにも悪く、クリニックの人員をそこにたくさん動員できる余裕もないので、やむなくネイルケアはすべて自費診療とさせて頂いた次第です。本当にやむなく、しぶしぶの転換です。人件費などの経営効率を考えながら、、、それでも他院に比較するとなるべくリーズナブルな価格で対応していきたいと思っておりますので、ご了承下さるよう宜しくお願い致します。

 

ブログは毎月1日と15日に発信してまいります。

 

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