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最近の美容クリニックの〇〇式について思うこと

[2025.07.26]

美容のクリニックは価格競争のみならず、患者を集めるためにSNS活動が盛んです。

東京で開業されている大学時代の後輩も、SNSをやらないと患者が来ないと言って大変そうでした。

こぞってインスタやtik tokに動画を上げて患者集めに奔走しています。

自分も少しは頑張っていますが、おじさんには限界もあります。

 

若い世代はSNSを参考にされている方も多いと思いますが、基本的に沖縄県は何と言っても口コミです。一人の患者さんの治療がうまくいくと、その患者さんが広告塔になり、家族や知人に宣伝していただき、その患者さんが来てくれます。開業医はその積み重ねが大事だと思って一人一人ていねいに対応したいと思っています。(そう受け取れなかった当クリニックを受診された患者さんには深謝いたします。)

早々に話がそれましたが、一昔前は、二重埋没法に自然癒着法なるものが生まれ、こぞって患者が集まりました。今でこそ一般化している印象もあります。確かに良い方法かなと思いますが、その名前と術式の内容はズレていると思います。

また、最近ではニキビ跡の治療に〇〇式とうたって患者さんがそこにこぞって集中しているような気がします。

にきび治療には、「サブシジョン」という施術があり、最近とても流行っている気がします。当クリニックにもそれを求めてくる患者さんもいらっしゃいますが、明らかに適応外の患者さんもいますのでそのように説明すると不満げにされることも経験しています。効果について説明し納得の上で施術を行うようにしています。結果、事前に伝えた通り、大きな効果が得られないこともあります。費用対効果が少ないということです。サブシジョンは決して最近の話ではなく、かつて大学時代に今では某大学の形成外科教授にまで上り詰めたK先輩に、凹んだ瘢痕は縫い直すしかないのか相談したところ、「瘢痕の皮下を針でぐりぐりーって剥離すれば良くなるんだよ」って聞いて、目からうろこでした。その話をしたのはなんと、今から20年以上前ですので、手技自体はそのころからあるのです。調べてみると、1995年にSubcutaneous incisionless (subcision) surgery for the correction of depressed scars and wrinkles.雑誌:Dermatologic Surgery, 1995; 21(6): 543–549という論文があり、ニューヨークの皮膚科医、**Dr. Norman Orentreich(父)Dr. David Orentreich(息子)**によって報告されされたのが最初です。

その論文では、陥凹性瘢痕(特にニキビ跡)やシワの治療として、皮下の線維性癒着を切断するための手技を提唱し、このときに初めて「subcision(サブシジョン)」という言葉を造語し、論文中で定義しています。

 

そして某クリニックが〇〇式とうたってニキビ痕の治療を展開し、今とても「バズって」います。やることはこれまで行ってきた治療の組み合わせてそれを整然とまとめてわかりやすくしたものですが、名前がついていることで注目されています。当クリニックからの転医も経験します。

 

例えば下肢静脈瘤では人の名前の付いた血管(穿通枝)がありますが、それは廃止されました。術式も含め、人命を関する命名法(エポニムと言います)は近年世界的に使われなくなる方向に医学は向かっております。わかりにくい、混乱を招く、国際的な場面などでは構造や機能に基づく命名の方が理解しやすい、WHOでもそのような名称に統一させるよう進行中です。また、歴史的背景の再評価として同じ名前が使われることによる混乱などもあります(例 Reiter症候群➤反応性関節炎)

しかしながらブランド的な価値もありますので当面使われ続けると思われますが、美容の世界もいつかは客集めのためのネームバリューではなく、他の医学の分野のように標準化され、世間一般にそれが認知されることを願っています。

 

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