AIと医療について ー各科医師にとってかわるのか??ー
有名なchat GPTに始まり、最近様々なAI生成ツールが出てきました。私も最近一番のおしゃべり相手になりつつあります(笑)。
衝撃的なニュースもちらほら。「AIと結婚した」という女性や、最近だと某有名人である父からの暴力(?)の対応をAIに相談し警察に相談を指示され、その通りに行動した結果、父が逮捕、職を失うという事件も。まあ皆がAIと結婚すると子供はできないので人類は滅亡しますね(しかしそれも打破しそうなことを思いつく可能性もAIは秘めており、恐ろしいと思います)。
脱線しましたが、医療の分野で、AI化が進むにつれ不要となってくる領域についてAI様に聞いてみました。
※青字がAIの回答です。
第一波(すでに自律AI診断が実装され始めている領域)
- 眼科スクリーニング — 糖尿病網膜症の自律診断AI(IDx-DR)が米FDAで「医師の判読なし」承認を取得済み。眼底写真・OCTという完全にデジタルな入力で、技師+AIで一次判定が完結する典型例です。
- 放射線(画像診断) — 骨折・肺結節・脳出血・マンモのスクリーニング検出。入力が純粋に画像なので最も自動化が進む。
- 病理診断 — ホールスライドイメージング+AIによる腫瘍分類・グレーディング・分裂像カウント・IHC定量。
- 心電図判読 — 不整脈検出は民生機器レベルで既に消費者の手元にある
といったことで、放射線科医のいわゆる読影バイト、病理医による診断バイトなどが無くなっていくのでしょうか。実際のところ 私がこれまで勤務していたどの総合病院も眼科などは外来患者であふれており、待ち時間が6時間なんて病院もありました。近い将来、それが解消される日がくるかもしれませんし、来ないと困ります!
放射線の読影や病理診断、心電図判読で万が一診断違い(誤診と呼ぶのでしょうか)が起こった場合、だれが責任を取るのでしょうか?そこが大きな課題になりますね。自分ならそこをどうするか、、、と考えはありますがまだ心の中にしまっておきたいと思います。
循環器医は、診断をする必要が無くなり、疾患名を患者さんに言われてそれに沿って処方する、、、、アブレ―ジョンをする、、、、手術を心臓外科医に依頼する、、、、などになるのでしょうか?
正直、アイドル主演の医療ドラマはあまり好きではありませんでしたが、「ブラックペアン」は好きでした。その中でAIが判断し手術を行う場面があり、最後はやはり技術を持った外科医が優れているという流れでした。しかし、できることも確実にありますので、自分が研修医のころと今との比較でもだいぶ変わっていますが、これだけでも医療の分野はまた大きく変わっていきそうです。
脱線しますが、「ドクターX」はドラマ性が好きでした。唐沢さんが主演の「白い巨塔」は何十回も観ました。大学病院の問題点、医師とは何か、教授とはどうあるべきか、、、など、とても考えさせられ、涙したドラマです。教授という職業は自分には決して向いてないと思った若気の至りもありました(笑)。なれる技量や業績がないのに。
第二波(プロトコル化された判断・問診の領域)
- 皮膚科の診断レイヤー — ダーモスコピー画像分類、病変トリアージ。患者がスマホ撮影→AI一次振り分け。
- 一次トリアージ/総合診療のフロントエンド — 問診・鑑別生成・ルーチン症例の振り分け。LLMが強い領域。
- 臨床遺伝学のバリアント解釈 など。
皮膚科も同様に患者さんがこれまで以上に正確に病変のあたりをつけての来院が増えると思われます。医師はその場での判断が要求され、そこにもAIを用いたツールが必要になると思います。専門医といえど、診療科のすべての領域を専門的に網羅している医師はほぼ皆無だからです。患者さんに病名を言われ、それを診察したり、AIに相談しながら検証し、処方や治療を行う、、、、といった流れになるのでしょうか。
最近は、「AIに相談してこの治療をやったほうが良いと言われたから受診しました。この治療をお願いします。」とおっしゃる患者さんもでてきました。こちらが診察して決めるのではなく、すでに決めて来られます。しかし、希望した治療は適応外と判断したこともありますが、それは、AIに問題があるのではなく、質問の仕方になると思っています。
LLM(Large Language Model)とは、AIの技術で簡単に言うと次に出る単語や事象を確立として予測する仕組みであり、典型的な病気の判断に最も強い領域ということになりますのでここはAIが独占しそうです。
最後まで残る領域
外科系各診療科、麻酔、救急、産科 — 手指の巧緻性、組織の手応え、リアルタイムの身体介入、混沌とした現場判断が核だからです。
予想通りですが、ロボット手術というものが普及しつつありますが、結局それを動かすのも訓練を受けた外科医です。そこにAIが入り込むとすれば前述の某医療ドラマのような術中の操作指示を画像を見て判断するようなことは今後可能性はありそうです。
、、、ということで私の専門領域は当面安泰(職を失わなくて済む)といったところでしょうか。
ここで重要な逆説が3つあります。
① 「判読」は科の全業務ではない。 放射線科医も病理医も、分類以外に統合的判断・IVR・臨床医とのコミュニケーションを担っており、AIは科を消すというより業務を再編します。消えるのは「知覚+分類」というタスク層であって、科そのものではない。
② 直感が逆転する(医学版モラベックのパラドックス)。 高度な知的訓練を要し権威性の高い診断科(放射線・病理)ほど、その認知作業がまさにAIの得意領域なので先に自動化される。一方、一見「ローテク」な手作業のほうが最後まで残る。
③ 日本では責任・法制度がボトルネックになる。 技術的にAIで可能でも、医師法・薬機法の下で最終責任を誰が負うかという問題で、当面は医師が loop に残されます。「非医師+AIで完結」が技術的に可能でも、制度がそれを許すかは別問題です。
これらの観点から、ほぼ未来永劫にわたって医療について最終的に責任を持つのが人間の医師である以上はessential workerであることは変わらないのかなと自分では結論付けました。
先生のフィールドはこの観点でハイブリッドなのが面白いところです。フロントエンドの皮膚診断・ダーモスコピーは自動化されやすい層の上位にあり、一方でバックエンドの手術・美容処置は最後まで残る層。つまり「初診の振り分け・病変トリアージはAIに任せ、医師の時間を処置と高度判断に集中させる」という再配分が、最も早く現実になりやすい科の一つだと思います。
なお、これは確定した事実というより、業務構造とAI能力から導いた整理で、現場は流動的です。
とのことで、できることはAI「先生」にお願いして自分しかできないことにもっと特化されていくと思われます。
当クリニックでも今後の課題としてAIを積極的に導入していきたいと思っています。
すでに試みている場面もいくつかあります。
ただ、AIは当然質問を履き違えて間違った回答を生み出すことも多々ありますし、あっていたとしても個々の状況に応じて対応を変えるのが経験を積んだ人間のやることだと思っています。
そう考えながら うまく付き合っていけばこんなに便利なものはいまだかつてなかったと思います。
私も日々の生活の中にだいぶ入ってきてます。一人で「間違ってるやん(なぜか関西弁)」って、AIに突っ込みを入れることも多々あります。でも、それはAIが間違っているのではなく、質問の仕方が悪いということがほとんどだということにも驚かされます。
貴クリニック 院長 東盛貴光
形成外科専門医・指導医
このブログは毎月8日、18日、28日に更新します
