診療報酬改定について思うこと
いつもブログを見ていただきありがとうございます。他愛のない内容で恐縮です。
診療報酬というものは、国が決めた診療における患者さんが支払う費用で、保険診療は国が決めます。そしてそれは2年ごとに見直しが行われ、改定されます。
点数化され、患者負担分以外の保険で賄われる分は税金から医療機関に支払われます。なので、高額になればなるほど税金が使われ国の財政が圧迫されることになります。
最近で大きな改定は医療機関のスタッフの給与を上げるためにベースアップ加算が付いたことです。これは、その目的のため、患者さんから数十円づつ診察費用をいただきそれをスタッフへの報酬へ還元するという建前で通称「ベア加算」と言われています。
一定の要件を満たせばどの医療機関でも適用できます。残念ながら当クリニックではこれを行うことでクリニックが国に支払う費用が加算を超えてしまうため行わないことにしました。これは、保険診療のみでは患者数が少ないからです。それはうちにいらっしゃる患者さんにとっては、(微々たる額かもしれませんが)負担減になります。
昔私が研修医だったころは、白内障の手術費用は、胃がんの手術費用とほぼ一緒でした。なので、慣れると15分程度でできるような白内障の手術を1日20件とこなすようなクリニックでは莫大な利益が生まれていましたが胃がんの手術はどう頑張っても1日10件と行うことは不可能です。なので眼科医になるドクターはたくさんいました。今の直美問題に通じるものがあったと思います。私が医学部を卒業するころ、当時の眼科の教授に「沖縄県は眼科医は充分余っているから眼科医にはならないでください」とまで言われた記憶があります。それでも眼科医になった同級生もいます。そのような手技に見合った診療報酬は、それぞれの間に生じる不均衡を検討し是正していくことで2年ごとに国が調整しています。そして2年ごとに総合病院やクリニックの経営者はその行方を注視し、戦々恐々としています。
今では白内障の手術費用はだいぶ下がりました。要するに多く治療されるものなどは下がる傾向にあるかと思います。税金が使われることを考えると致し方がないことかもしれません。外科の診療報酬は徐々に上がってきています。低侵襲化、内科技術の向上による切らない治療などが増えていることで手術件数が軒並み減っていることが影響していると言わざるを得ません。
最近は整形外科の患者さんは、待ち時間からもわかると思いますが、超高齢化社会に伴いとても多く、国が支払うことを渋っているのでしょうか、診療報酬もどんどん下がっています。つまり整形外科は同じ仕事量での儲けが減っています。
形成外科については下がったものもわずかにありますがおおむね診療にかかる費用は上がっています。技術が高度であることと、形成外科という診療科が徐々に認識されてきたということになると思います。(実際は形成外科学会のお偉いさんの担当が厚労省と闘ってくれているからです(笑))
さらに内科では生活習慣病にかかる指導を行ったことに対する報酬がカットされ、おかげさまで経営が傾く内科クリニック、ひいては総合病院が急増しています。これは由々しき問題だと思います。クリニックが経営できなくなると、地域住民が困ります。クリニックが減ると、遠くに行くようになったり、待ち時間が増えます。大学病院や総合病院には「療養選定費」なる高い受診料を支払わないと直接受診はできません。これは大学病院や総合病院がコンビニ化することを防ぐ意味で大切なシステムだとは思います。そのためには近隣クリニックが充実していることが条件だと思いますがいかがでしょうか?
国の改定した内容によっては病院がつぶれていくわけです。そもそもこうなるからベア加算が始まったのかなと少々矛盾も感じます。負担は患者に行っているわけです。
全くもって個人的な意見ですが、今後は最近急増している訪問診療クリニックに国の目が行くと思います。いまは報酬に係る加算が贅沢についているのでそれをねらって新規開業の訪問診療・訪問看護ステーションなどが増えていますが、それは結局税金負担が増えることになりますので、コスト削減を狙う国も黙ってないと思われ、今後減らされると予想します。そうなると今度はそのようなクリニックが経営不振になり減っていくという恐ろしい予想を勝手にしております。
医療機関は総じて、一昔前のように儲かっているところはほとんどありません。コストコの従業員の時給の高さは、それを見た医療機関の経営者が、スタッフが辞めないよう、時給に影響していると思っています。それが負の連鎖へとつながりかねません。
もうちょっと現場の医療関係者が診療報酬改定に関われるようにすれば医療機関の診療報酬削減は改善されるんでしょうか。。。物価はどんどん上がっていますので、経営はどんどん圧迫されています。針糸一つとっても30%ほど10月から上がります。
