腫瘍切除で起きてしまう問題 ― 無計画切除(unplanned excision)と形成外科的皮膚割線の重要性 ―
計画性のない切除(unplanned excision)とは?
「悪性や境界悪性の可能性を十分に評価しないまま、不適切な”マージン(できものと切開の間の距離)”や、切開方向で腫瘍を切除してしまうこと」
を指します。
特に問題となるのは以下のようなケースです。
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良性と思って安易に切除したが、病理で悪性と判明
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マージン不十分で腫瘍が取り切れていない(ガイドラインに沿ってマージンを十分にとっても取り切れてない場合もあります)
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再切除が必要だが、皮膚欠損が大きくなる
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不適切な切開線により、瘢痕が目立つ・拘縮が生じる
なぜ 計画性のない切除が問題なのか?
① 再切除が必要になる
悪性腫瘍では、十分な安全域(surgical margin)を確保した切除が原則です。腫瘍の種類ごとにガイドラインで定められています。
計画性のない切除の後は、既存瘢痕+周囲皮膚を含めたより大きな再切除が必要になり、初回から適切に切除した場合より侵襲が大きくなります。
沖縄県では、軟部腫瘍の専門医が琉球大学整形外科に存在し、県内いくつかの関連施設でも外来診療を行っておりますので、正確な診断が必要な場合、私自身で最後まで責任が取れない可能性が少しでもある場合などには積極的に紹介しており、沖縄県内の形成外科医(私も所属する県内ほとんどの専門医・指導医が所属する沖縄形成外科研究会)との取り決めを行っております。
② 形成外科的再建が難しくなる
皮膚は「どこをどう切るか」で、縫合のしやすさ・瘢痕の目立ちやすさが大きく変わります。
計画性のない切除では:
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皮膚割線を無視した切開
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円形・不自然な欠損
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不利な方向への瘢痕延長
となり、局所皮弁や単純縫縮が困難になることがあります。
形成外科が重視する「皮膚割線」とは?
皮膚割線(Skin tension lines / relaxed skin tension lines)
皮膚には、
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自然にしわが寄る方向
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張力が最小となる方向
があり、これを皮膚割線と呼びます。
形成外科では:
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皮膚割線に沿った切開
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可能な限り直線的・計画的な切除
を行うことで、
✔ 縫合時の緊張を最小化
✔ 瘢痕を目立ちにくく
✔ 拘縮・変形を予防
します。
腫瘍切除で重要なのは「診断 × 切除計画」
腫瘍治療で最も重要なのは、
① 切る前の評価
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悪性の可能性はないか
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画像検査や生検が必要ではないか
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切除範囲はどこまで必要か
② 切除ラインの設計
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マージンをどの程度確保するか:これは各腫瘍ごとに初回で推奨される切除範囲は決まっています。
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皮膚割線・解剖学的単位を考慮しているか:悪性であれば根治性が重視され、筋肉などの軟部組織を余計に切除することにならないようなデザインが配慮され、これはみための皮膚割線にそった切除ラインと異なります。
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再建まで見据えたデザインか:腫瘍外科医がそこまで考慮したデザインが推奨されますが、最も大事なのは根治性であり、再建はその次に検討されるものです。
👉 「とりあえず切る」は最も避けるべき選択です。
形成外科が腫瘍治療で果たす役割
形成外科は、
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腫瘍の根治性
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見た目と機能の温存
の両立を専門とする診療科です。
皮膚・皮下腫瘍においては、形成外科が関与することで根治性の中でも最小限の侵襲で、最良の結果を目指すことが可能です。
またガイドラインで決められた期間は再発リスクがあるためフォローアップが必要で定期的に通院をお願いしておりますが、実際は30%以上の方で途中で来院されなくなることを経験しております。これは医療者側の努力不足もあるかもしれませんが、皮膚ガンを軽く考えている方も多いと感じております。
まとめ
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腫瘍切除は「小さく見えても慎重に」
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計画性のない切除(unplanned excision) は再手術・整容障害の原因になる
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皮膚割線を考慮した切除は、結果に大きく影響する
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最初の一刀が、その後の人生を左右することもある
- 安易にきれいに縫ってもらいたいから、、、と最初に美容外科(非形成外科専門医)に行くのは誤りです。かかりつけ医の方もご留意いただければ幸いです。
🔍 こんな場合は、切る前に相談を
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「しこりが急に大きくなってきた」
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「色や形が不均一」
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「過去に一度切除したが再発している」
当クリニックは、特に軟部腫瘍はメスを持つ前に、精査と診断が第一と考えておりますので、初診の方は、軟部腫瘍を専門に扱う施設へまずは紹介しております。
ブログは毎月8日 18日 28日に発信してまいります。


