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沖縄で“重症熱傷が専門医に届かない”現実について

[2026.04.28]

私はこれまで、東京女子医科大学や多摩地区ナンバーワンの救急受け入れ実績をもつ災害医療センターで重症熱傷の診療に長年携わり、国内外の学会でも多数の発表を行ってきました。

すこし専門的な話になりますが、我々の医局は厳密な管理の下ではじめておこなうことができる「超早期手術」を推奨しておりました。すなわち、熱傷受傷後24時間以内に初回の手術を行うことにしており、常に臨戦態勢で病院に勤務していたのが懐かしいです。今でも衝撃的なのが、子供の幼稚園の運動会に参加していて(当番でもないのに)病院に重症熱傷が搬送されたため呼び出され、途中退席したことです。

沖縄に戻り、地域医療に貢献したいという思いで診療を続けていますが、
現場で強く感じていることがあります。

それは

「重症熱傷が専門医に届いていない」

という現実です。2026年4月現在、沖縄県には日本熱傷学会専門医が2名しかおりません。専門医一覧

しかし、重症熱傷は県立病院へ搬送するという救急隊の暗黙の流れが県内では昔から出来上がっています。


■ 本来あるべき重症熱傷の流れ

重症熱傷は時間との戦いです。

・初期輸液管理
・感染管理
・壊死組織の早期処置
・再建を見据えた判断

これらは

➤ 初期段階から専門医が関与することで予後が大きく変わる疾患

です。文献的にも実証されています。


■ 現場で起きていること

沖縄では現在、

・救急搬送時に複数の病院で受け入れ困難
・専門医がいる施設に直接搬送されない
・結果として初期対応が遅れる

というケースが実際に起きています。

さらに問題なのは

最終的に「どこも断った後」に相談が来るケースがあること

です。前職の総合病院では、とある離島で休日夕方に重症熱傷が発生し、ヘリを経由しての搬送準備をするも、県内すべての総合病院への受け入れ打診が断られ、自分が休みであったにもかかわらず、当時の院長より連絡がきて受け入れを打診され、ことある理由もなく受け入れ、祭日に対応した経験があります。離島からの搬送でしたので、来院時はすでに15時間以上経過し夜中の搬入でした。超脱水で条件の悪い中での治療開始であり、皆が初めてで手をとめてどうしてよいかわからない中で自分が皆に指示を出しながら減張切開、気管内挿管、中心静脈ライン(2本)挿入した大量輸液を開始しICUで管理を行いましたが、急性期のショックを離脱できず、初回手術まで持っていくことができませんでした、、、前医でなされていた初期治療も事前情報と全く違うものでした。離島の診療所でなされた懸命の初期対応であったため、それを責めることはできませんが、なるべく早い段階での大量輸液が救命につながる文献報告はあります。


■ なぜこのようなことが起きるのか

これは個々の医療機関の問題ではなく、

・受け入れ体制の分散
・専門医配置の非効率
・救急搬送ルールの曖昧さ
・重症度評価のばらつき

といった

システムの問題

と考えています。

東京都では、日曜祭日は当番病院が決まっていて、必ず都内のどこかの病院で重症熱傷を受け入れられる体制が整っていました(東京都熱傷救急連絡協議会)。当時大学病院に勤務していたころは、その一員でありましたのでとても良いシステムであったと思います。


■ 実際に感じる“機会損失”

重症熱傷は

➤「最初の数時間」で予後が決まる疾患

です。

適切な初期対応が行われていれば

・救命率
・瘢痕
・機能障害

は大きく変わります。

つまり現状は

患者さんの未来に影響する可能性がある問題

です。


■ 救急隊への共有・講演も行ってきました

この問題を改善するために

・救急隊への講演
・受け入れ基準の共有
・専門医への直接相談の重要性

について発信してきました。

正直、何も変わりませんでした。勤務医時代に自分への重症熱傷の打診はほぼありませんでした。これまで通りに決まった施設への搬送がメインでした。たとえ自分の所属している病院近くでの受傷でもです。なぜそれを知っているかというと、あとから搬送された患者さんを受け入れた担当の先生からその重症熱傷患者の相談が来たからです。嫌われていたんですかね(笑)。

、、、ルールを変える勇気というのはなかなか出ませんので理解できます。


■ 私たちにできること

この問題を変えるためには

・医療機関同士の連携
・救急搬送の明確なルール化
・専門医への早期アクセス

が必要です。


■ 最後に

私は現在、クリニックでの診療を中心としているため、
大規模な入院管理を要する重症熱傷については、
すべてを自施設で受け入れる体制にはありません。

そのため、重症例に関しては
適切な入院管理が可能な医療機関へつなぐことを前提としています。

現在は、私の東京女子医大の後輩である、重症熱傷の経験をを持つ形成外科専門医が
ハートライフ病院にて診療を担っており、
重症熱傷の受け皿として重要な役割を果たしています。

重症熱傷が搬送された場合には私と協力して治療にあたります。(ほとんどないことですが、、、、)

だからこそ、

「専門的な判断ができる医師に、できるだけ早くつなぐ」

という流れを地域として整えることが重要だと考えています。

重症熱傷は
どこで診るかではなく

「誰が最初に関わるか」

で大きく結果が変わります。

現場で判断に迷う場合には、早い段階で専門医へ相談するという選択肢を
ぜひ持っていただければと思います。

このブログは毎月8日、18日、28日に更新します

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