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シミのレーザ―治療について思うことといまさら聞けないことの解説

[2026.01.15]

いつもブログを見ていただきありがとうございます。

いまさら聞けないシミ取りレーザーについて基本から、今の時点での現状についてわかりやすくなるようにテーマにしてみました。

ピコレーザのサイトへ

ピコレーザーでシミ治療は本当に変わったのか?
〜従来レーザーとの違い、日本のシミ治療の問題点まで専門医が解説〜


はじめに:シミ治療は“レーザーの質”で結果が決まる時代へ

近年、「ピコレーザーが良いらしい」という情報だけがSNSで独り歩きしています。
しかし実際には 機器の構造・照射モード・出力調整・照射後のケアなど、結果を左右する要素は多岐にわたります。

私は形成外科専門医、レーザー専門医・指導医として大学病院時代から、数千例以上のシミ・色素病変の治療に携わってきましたが、ピコレーザーは確かに従来機よりも“結果と安全性の両方が向上した” と実感しています。

ただし“万能”ではなく、世の中に広がる誤解や過剰広告も多いのが現状です。

ある種の黒あざなどは従来からあるレーザーの方が優れているところもあります。

今回は、

  • ピコレーザーが従来レーザーより優れている点

  • 実際にどんなシミに向いているか

  • 世の中のシミ治療の問題点(誤解・広告・やり過ぎ)

  • クリニックで正しい治療を受けるためのポイント

を形成外科およびレーザ専門医(&指導医)目線でつぶやきます。


1. ピコレーザーとは?従来レーザーと何が違う?

① “照射時間の短さ(パルス幅)”が最大の違い

レーザーには「パルス幅」という、“光が当たる時間の長さ”があります。従来のレーザーはナノ秒(10億分の1秒)までの照射時間でした。Qスイッチレーザー、アレキサンドライトレーザー―(Q-Alex)、ヤグレーザーなどすべてナノ秒の照射時間に「はみでて」しまいます。それに対してピコレーザーは照射時間が1兆分の1秒というピコ秒単位で、ターゲットに熱を集中させ、周囲正常組織に強いダメージが加わるまでにかかる時間(熱緩和時間と言います)に至らない短い時間で照射を可能にした機器の総称です。2015年くらいから日本で登場し今ではSNSなどを通じて一般に広く周知されつつあります。

種類 パルス幅 特徴
ナノ秒レーザー(従来) 約10⁻⁹秒 熱でメラニンを破壊
ピコ秒レーザー(ピコ) 約10⁻¹²秒 熱ダメージを最小化し、光圧(衝撃波)でメラニンを粉砕

ピコレーザーは1,000倍短い時間で照射されるため、熱で皮膚を焼かずに済むのが最大の利点です。


② メラニンの“粉砕の細かさ”が違う

従来:メラニンを大きな粒で壊す
ピコ:より細かい粒子に粉砕 → 体内での処理が早く、治療回数も減る


③ ダウンタイムが短く、炎症後色素沈着(PIH)が少ない

従来のQスイッチは熱が強く、治療後に赤み・PIHが長引くことがありました。

しかしピコは熱影響が少ないため、

  • 赤みが短い

  • かさぶたが軽い

  • 色戻り(戻りジミ)が減る

という大きなメリットがあります。

実際のところ、日差しの強い沖縄、そして肌の色がより濃い沖縄人では、PIH(施術後の炎症による色素沈着)は明らかにきたしやすいのが現状です。従来のレーザーでは半分くらいがPIHになっており、ピコレーザーでも当クリニックでの統計では、途中で来院されなくなった患者さんを除くと、約3,000人ほどの中で効果が無かったのは数名であり、約15%でPIHとなるも数カ月で軽快しており、残り約85%はPIHをきたすことなく軽快しております。驚異的な治療成績と思われます。また、私は、すべてのしみの治療において、患者さんごとのしみの濃さ、肌の色(スキンタイプ)、外でのスポーツや仕事の有無などに合ったオーダーメイドの設定を追求しており、設定から結果を分析し、ピコレーザーを始めた当初よりも徐々にその治療成績は向上しております。それでもPIHの発生率は決してゼロにはなりません。それが受け入れられない方はもちろん施術をお断りしています。


2. ピコレーザーが向くシミ・向かないシミ

◎ ピコレーザーが特に得意なシミ

  • 老人性色素斑(日光性黒子)

  • 雀卵斑(そばかす)

  • ADMの一部(波長や設定による) 

  • 刺青・アートメイク除去(ただし眉アートメイク機械彫りでのtattooなどは色素が深く入り込んでいて、回数がかなりかかります。)


△ ピコでも過信は禁物なシミ

  • 肝斑
    → ピコトーニングは有効だが、出力設定が非常にシビア
    “強めに当てれば当てるほど悪化する”という落とし穴あり

  • 炎症後色素沈着(PIH)
    → そもそも無理にレーザーを当てると悪化

  • アザ(太田母斑・扁平母斑)
    → 可能だが照射プロトコルが複雑で医師の経験差が大きい


3. 世の中のシミ治療の「問題点」

① 「全部ピコで消える」という誤情報

SNS広告が強く、「ピコレーザーならなんでも1回で取れる!」という誤解が広まっています。
実際には、シミの種類の診断が最重要であり、診断を誤るとエネルギーの強いピコレーザーはむしろ 悪化させるリスクがあります。

典型的な例は、肝斑をそばかすやADMなどと誤診し増悪させるケースでそのような患者さんも多く来院されています。

当クリニックでは明らかな場合を除き、基本的にはシミの治療を希望されるすべての患者さんで肌分析機器(VISIA)を用いてしみの種類を診断し適用しております。


② 肝斑に“強いレーザー”を当てすぎるクリニック

肝斑は様々な要因がありますが、刺激でも悪化するため、本来は

  • 内服と外用併用

  • 摩擦の除去

  • スキンケア指導

が基本です。

それで改善無い場合に低出力のピコレーザー照射(いわゆるピコトーニング)が検討されます。この治療の是非につきましては(少し現在は落ち着きましたが)レーザー関連の学会でも最先端の医師同士で活発な議論がなされております。当クリニックでは肝斑に特化したリバースピールも取り入れております。

しかし一部では「強出力で短期で結果を出そう」として逆効果になるケースが後を絶ちません。

肝斑治療は根気が必要です。手っ取り早く治療を終えたいという考えでは ほぼほぼうまくいかず、かえって遠回りとなっています。


③ 「とりあえずピコを当てるだけ」の低品質治療

  • シミの種類を明確に診断していない

  • 波長(532, 730(755), 1064(nm))の使い分けを行っていない

  • 照射スポットや密度が適当

  • 治療後のケアや内服が不十分

など、「ただ機械を持っているだけ」で中身が伴わない治療も多いのが実情です。

当クリニックでは、肌分析を行い、波長を目的・肌質により使い分け、治療後のケアについてもスタッフよりしっかり指導を行っています。

※照射密度などの施術方法については私の経験に左右されますが、日々精進しています、、、


④ 医師が診ないまま施術が行われるケース

レーザーは医療行為です。

にもかかわらず、、、

  • カウンセリングがカウンセラーや看護師のみ

  • 医師が実際のシミを診ない

  • トラブル時も医師不在

というケースも…。

これは法的にも医療安全の面でも問題があります。とても大事なことで、レーザーを医療行為ととらえきれていない施設が少なからず存在します。具体的にはほぼほぼクラス3・4の「高度管理医療機器」であり、使い方を誤ると特に皮膚や目に障害を残しうる危ないものであることを肝に銘じる必要があります。


4. 専門医が行う“正しいシミ治療”の流れ

① 正確な診断(これが9割)

  • 日光性黒子

  • 肝斑

  • ADM

  • そばかす

  • PIH

  • アザ

  • 皮膚腫瘍の鑑別

これらは見た目が似ており、経験の浅い施設では鑑別が難しいのが現実です。


② 治療計画を“組み合わせ”で最適化

シミ治療は、ひとつだけで完結しません。

  • ピコスポット

  • ピコトーニング

  • ピコフラクショナル

  • 内服(トラネキサム酸・ビタミンC・飲む日焼け止め)

  • 外用(ハイドロキノン製剤やトレチノイン製剤など)
  • 肝斑治療

  • 生活習慣アドバイス

などを、患者さんの肌状態や生活背景に合わせて設計します。

とくにシミを気にされるのに毎週日焼け対策せずゴルフをするなどの患者さんもいらっしゃいます。肌老化の原因となる喫煙もです。

治療だけが大事ではなく普段のケアも大切です。


③ 治療後の色戻りを最小限にするケア

  • 紫外線ケア

  • 保湿

  • ステロイドやハイドロキノンの使い方

  • 次回照射間隔

これらが徹底されて初めて、「きれいに治った」「戻りジミが出なかった」という結果につながります。


まとめ:ピコレーザーは“強い武器”。ただし使い手で差が出る

ピコレーザーは従来レーザーよりも

  • 効果が高く

  • ダウンタイムが短く

  • 色戻りが少なく

  • 治療回数も減る

という非常に優れた技術です。

しかし、それ以上に大事なのは “シミの種類の診断”と“適切な設定”
ここが誤っていると、どんな高価な機械でも良い結果は出せません。


最後に:当院で大切にしていること

  • 必ず医師がシミを直接診察し、種類を診断➤ 前述の通り肌分析を併用し、診断を行います。実際はほとんどが複合型のしみです。

  • 波長・出力・照射時間を個別に最適化➤特に532nmと730nmの波長の使い分けは重要です。

  • 患者さんの生活や仕事に合わせたダウンタイムの調整

  • 治療後のケアまで責任を持ってフォロー

  • 「無理に当てない」選択肢も必ず説明➤たくさんシミがあり、一気に取ってほしいというお声も多く聴きますが、PIHリスクもありますので、まずは1-2カ所行い、効果を見て今後別部位を検討することをいつもご提案させていただいております。しみ治療も医療であり、お金儲けの道具ではありません。

シミは“きれいになったかどうか”が一目でわかる治療です。
だからこそ、丁寧さと正確さを最も大切にしています。

私はレーザー治療の第一人者の東海大学形成外科 河野太郎教授に直接指導を受け、レーザーの基礎、考え方を学びました。同門の先輩で千葉で開業されている、M SKIN CLINICの中田元子先生をはじめ、後輩(と言ってもこの分野では先輩)で東京で開業されている八重洲形成外科・美容外科の原かや先生など、今でも学会発表など聞いて参考にしたり、時にはチャットで情報交換をしています。それが今に生きています。

 

ブログは毎月1日と15日に発信してまいります。

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