やけどは皮膚科?形成外科?救命救急科?――きれいに治すための第一歩
やけど(熱傷)について
料理中のお湯、ヘアアイロン、カップ麺の湯気――。日常の中でやけど(熱傷)は誰にでも起こるケガです。軽いものと思われがちですが、適切な初期対応と専門的な治療を受けるかどうかで、将来の「きずあと」や「皮膚の動き」に大きな差が出ます。
形成外科が行うやけど治療と救急で行うやけど治療
形成外科では、やけどを見た目と機能の両面から治すことを目的としています。深いやけどや関節・顔・手などの部位では、皮膚が硬く縮んでしまう拘縮(こうしゅく)が生じ、動かしにくくなったり、傷あとが目立ったりすることがあります。
救急では治すことが主眼におかれるため、傷あとのことはいくら聞いてもこたえられる救急医はあまりいません。ただ、患者さんの多くが治ればよいという方が多いのも事実です。
皮膚科では皮膚移植は可能ですが、広範囲の皮膚移植ができる皮膚科医は自身の経験ではあまり見たことがありません(一人だけ県内皮膚科医に一緒に仕事して指導したのでデキル先生はいます A先生)。
形成外科では傷あとが汚くなること、ひきつれをおこすことなどを防ぐために:
- 皮膚移植や皮弁術での再建
- 傷あとを柔らかく保つリハビリ
- ケロイド・瘢痕の予防など、“きれいに、そして機能的に”治す治療を行います。
やけどの初期対応:3つの原則
1️⃣ すぐに冷やす:流水で10〜20分。氷を直接当てない。
すぐに冷却することで組織への熱ダメージが深部に及ぶことを防ぎます。深部に及ぶと不可逆的(もどらない)きずあとになるリスクが増えます。また、氷などを直接長時間充てることで東証による組織損傷も生じうるため注意が必要です。流水程度で十分かと思います。
2️⃣ 清潔に保つ:衣服が張り付いていても無理に剥がさない。
やけどによる皮膚損傷でもろくなっており、無理にはがすことで川がめくれる可能性があります。流水で濡らしながらゆっくり剥がすか、そのまま連絡の上でいらしていただくことを勧めます。
3️⃣ 早めに受診する:水ぶくれや痛みが強い場合は、早期に形成外科へ。
「少し赤いだけ」と思っていても、後から深くなる“進行性のやけど”もあります。受診時期が早いほど、跡を残さず治せる可能性が高まります。
形成外科の工夫:きれいに治すために
- デザイン縫合:シワや輪郭に沿って縫い、傷を目立たせない
- 皮膚移植の最小化:必要最小限の移植で自然な質感を保つ
- 術後ケア:圧迫・保湿・レーザー治療で瘢痕を改善
院長の経験:東京女子医大形成外科での熱傷治療
東京女子医大は日本人で最初にアメリカ形成外科学会専門医を取得された平山先生(初代教授)、そして野崎先生(二代目教授)、佐々木先生(初代日本大学教授)、仲沢先生(日本大学名誉教授)、井砂先生のもと、WHOに承認を受けた熱傷センターを日本で最初に立ち上げ、日本をリードしてきた熱傷施設です。
全身熱傷に対する全身管理から救命、ひきつれに対する改善の手術、傷あとの改善のための手術やレーザー治療などを手掛けてまいりました。一時期は熱傷センターを任された時期もあります。日本熱傷学会専門医でもあり、熱傷に関する学会発表や論文報告など多く行ってまいりました。年間最優秀論文賞も頂きまし阿。その経験を踏まえ、最善の治療の提案を行うことができます。
当時は、形成外科だけで、全身熱傷に対する全身満理を行いながら皮膚移植などの手術から救命後の瘢痕治療までトータルケアを行ってきました。現在では分業化が進み、初期治療は救急で、落ち着いたら創閉鎖から瘢痕治療を形成外科にバトンタッチして行う施設も増えました。なので院長は約2年の外科研修を踏まえて全身管理を行っていた手前、いろんなことに対応してきました。5分で気管切開、スワンガンツカテーテルを使用した輸液管理、腹腔内圧管理、胸腔ドレーン管理、3分でカットダウン、急性腎不全に対する内シャント造設などなど。普通の形成外科医が経験しないことをやってきました。救命した患者さんは数人しか覚えてませんが、救命できなかった患者さんは全員覚えています。みなドラマがあります。そして医局では必ずdeath conference(デスカンファレンス)と称して主治医のプレゼンテーションのもとで反省会が行われておりました。今でもその経験は宝物です。
まとめ
やけどは「冷やす・清潔・早く受診」が鉄則。深いやけどや関節部・顔面のやけどは、形成外科が最も得意とする領域です。
見た目の美しさと、動かしやすさの両方を守る――それが、形成外科が担う“やけど治療”の真の目的です。
ブログは毎月1日と15日に発信してまいります。
